スタイリング

ノードとリンクを表示する以外に、アプリケーションでは、ビジネス・データに関する定性的データを伝達する必要もあります。ビジネス・プロセス、電気ネットワーク、WAN ネットワーク、UML ダイアグラムやサプライ・チェーン地図などのダイアグラムはすべてノードおよびリンクに基づいていますが、その表現には違いがあります。それぞれのケースで、アプリケーション固有の表記や記号が必要となります。
特定のアプリケーションの表記法を定義するのに、JViews Diagrammer では、スタイル・ルールを基にした強力なモデル・ベースのスタイリング機構を利用します。各ルールは、表示におけるグラフィックの変化を引き起こすデータ・モデルの条件を定義します。例えば、ノードの status プロパティーfine に等しい場合、緑色の矩形を描くルールを定義することができます。そして、status プロパティーが alarm に等しい場合、その矩形を赤色に変えるルールを定義できます。
表記法を定義する場合は、基本的な記号を作成して、デフォルトの状況で使用します。ビジネス・プロセスを扱うアプリケーションでは、これらの記号はアクティビティー、関与項目、メッセージなどを表します。通信アプリケーションでは、各種ネットワーク要素を表す記号が必要です。それぞれの基本的な記号は、少なくとも 1 つのスタイル・ルールによって定義されています。
基本的な記号の作成が終わると、表示する特定プロパティーを反映できるように変更したり、注釈を付けたりする必要があります。ノードの statusalarm に等しい場合に、背景色を red に変える、あるいはアクティビティーが現在実行されている場合に、仕掛品アイコンを追加するようなケースがあります。各状況で、より汎用的なルールで定義したグラフィック効果を補ったり、オーバーライドするルールを定義します。
スタイリング機構はまた、レイアウト・アルゴリズムやそのパラメーターの使用、あるいは背景地図やそのソース・ファイルと投影の使用のように、ダイアグラム全体のオプションを宣言し、カスタマイズするのにも使用されます。
スタイル・ルールのセットは、スタイル・シート内に保存され、同一データや基底となるデータ・モデルを保持する一方で、新しいスタイル・シートを動的に読み込むこともできます。この機能は、表示を特定の状況や、ユーザー・プロファイルに適用するときに役立ちます。例えば、業務プロセスのテクニカル・プロパティーをビジネス・アナリストには非表示にして、プロセス実装担当のソフトウェア・エンジニアにのみ表示することが可能です。
スタイル・シートの構文は、Web 標準の CSS 構文に準拠しますが、この時点では、同構文の詳細を考慮する必要はありません。スタイル・シートとデータ・モデルのダイアグラム・コンポーネントからの分離は、複数のコンポーネントを同一データに基づいて、同一または異なるスタイリングで構築できる、ということを意味します。次の図を参照してください。
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データ・モデル用ダイアグラム・コンポーネントのファミリー
JViews Diagrammer は、Designer と呼ばれる開発ツールを使用して、表記法の定義プロセスを簡易化します。Designer を使用する際は、自然言語を使用してルールの条件を定義し、さらにグラフィカルなプロパティーを変更できる直感的なパネルでルールのスタイリング効果を定義します。ルールを変更したり、新しいルールを追加する場合は、ツリー・ビューでルールを選択し、プレビュー・ウィンドウでその表記がどのように変わるか確認することができます。
JViews Diagrammer には、ビジネス・プロセス・モデリング表記法 (BPMN) という BPMI によって指定されたビジネス・プロセス標準表記法が装備されています (http://www.bpmi.org を参照)。この表記法は、包括的な記号のセットおよび高度なスイムレーンを提供します。